【3】【4】の競売の場合は、手続きが進行すると、区分建物を買い受ける第三者が登場します。法8条により「(管理費などの)債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」ので、この買受人に対して滞納組合費等の支払いを求めることができます。【3】の競売申立は住宅ローンの金融機関任せですが、【4】は管理組合が自主的に行う手続きです。
管理費等の滞納は、法6条の定める「区分所有者の共同の利益に反する行為」で、長期滞納の結果、「区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難」になれば、総会で4分の3以上の決議を経て、裁判所に競売申立を認めるように請求できます(法59条)。
なお、管理費は支払期限から5年で時効になります。どの方法でも時効を中断できますが、すぐに競売ができない場合には、管理費の支払いを命じる判決を得ておくと、時効期間を10年に延ばせます。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※女性セブン2024年8月22・29日号