都心部を中心にマンション価格が高騰し、「マンションバブル」と言われている。しかしこの先も現在の資産価値を維持できるのだろうか。新刊『マンションバブル41の落とし穴』を上梓したばかりのさくら事務所会長の長嶋修さんは、「好立地のタワマンなどの人気物件は、今後も値下がりしにくいでしょう」と話す。ただし、「たとえ人気物件でも、マンション住民の“住まい方”次第では、資産性が低下することもあり得ます」と続ける。いったいどういうことか。
「マンションは“管理”が非常に重要ですが、そのことを理解しておらず、管理について無知・無関心な住民ばかりというマンションは非常に多い。皆が管理をおろそかにしたままやり過ごしていると、将来的にはタワマンですら廃墟と化して、資産性が限りなくゼロに近づく恐れがあります」(長嶋さん・以下同)
マンションの管理がおろそかになるということは、居住快適性が下がるということなので、QOLの低下が心配される。さりとて、引っ越そうにもそうした物件は価格が下落し、売るに売れなくなってしまう。そもそも、買う時点で“出口(売却)”を想定している人は少ない。「永住するつもりだから、そこまで考える必要はない」と思っている人も多いかもしれないが、ほとんどの場合、買ったマンションはいずれ売却することになる。買った本人が売らなくても、相続した子などが売るだろう。親がマンションを買い、大事に手入れして子や孫の代まで住み継いでいく例もあるにはあるが、ほんの一握りだ。
マンションを購入する人の年齢は、30~40代という働き盛りで子育て真っ最中の世代がボリュームゾーン。数十年住み続けたら、さまざまな事情で転居を考える可能性は増すはずだ。若いときは住みやすかったエリアが、少々騒々しいと感じるようになるかもしれないし、老人ホームへの入居を検討することもあるかもしれない。
しかし次のステージに移るにはお金がかかる。そこでマイホームを売却してお金をつくろうとするわけだが、首尾よく売れないと行き詰まることになる。現在住んでいるマンションの資産性を維持するために必要な“住まい方”とは──。