マンションを購入して区分所有者となったら、管理組合に加入することになる。マンションの規模にもよるが、数年から十数年の間に一度は理事(役員)を経験することになる。その中でも最も責任が重い仕事である「理事長」が“暴走”し問題になるケースもあるという。マンショントレンド評論家の日下部理絵さんが、その実例をリポートする。
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3月に首都圏で発売された新築マンション1戸あたりの平均価格は1億4360万円と単月で初めて1億円を超えた。不動産経済研究所によると、1973年調査開始以来の最高価格だという。
これだけ価格が高騰すると、買い控えの傾向がみられそうだが、その一方で、大手企業では賃上げの復活、長期的には超低金利の局面が終わる可能性があること、コロナ禍の落ち着きなど、今マンション購入にポジティブになる要素も生まれている。今春、思い切って「夢のマイホーム」を購入した人もいるかもしれない。
しかし、マンションは購入がゴールではなく、スタートにすぎない。そこで注目したいのが、「マンション管理」の問題だ。分譲マンションを購入すると、自動的にその購入したマンションの管理組合の一員となる。そして管理組合の一員となると、管理組合の代表として、いずれは理事や監事などの役員に選出される(引き受ける)ときが、必ずやってくる。
マンション管理組合の理事(役員)といえば、「面倒だなぁ」「嫌だなぁ」といったマイナスイメージを持つ人も多く、もし選出されると、抽選に外れたような気分になるのではないか。
それゆえ、自分のマンションにもかかわらず、見て見ぬふりの形式だけの総会や理事会などの管理組合運営にもなりやすい。もし、理事長や理事などを積極的にやりたいという組合員がいれば、「どうぞどうぞ、お願いします」というのが本音ではないだろうか。