植田日銀総裁が7月31日の記者会見で残した「タカ派」姿勢は、7日の内田日銀副総裁によって、いったんは打ち消した格好だが、この主な意見を受けて、日銀は「ハト派」なのか「タカ派」なのか、市場の疑心暗鬼は残った。主な意見は7月30-31日の話なので、最新の内田日銀副総裁の発言が、今の日銀のスタンスと捉えられそうだが、株式市場、為替市場、金利市場はいずれも方向感を失ったままである。不透明感が解消されないことから、腰を据えた投資資金の流入は期待できそうにない状況だ。
日経平均は小康状態を迎えているが、1987年のブラックマンデー、2001年のITバブル崩壊、2008年のサブプライムショック、2020年のコロナショックといった歴史的な暴落時は、いずれも10営業日前後に二番底を付ける動きが見られた。ボラティリティが急上昇したことで上下に振れやすい地合いとなっていることから、想定以上に動く可能性は十分残っている。
5日の10営業日前後は、機関投資家の多くがお盆休みに入っており商いが閑散している時期となる。5日の終値31458.42円、取引時間中の安値31156.12円を下回るような二番底には警戒しておきたい。
今週にかけて国内では、13日に7月国内企業物価、15日に第2四半期実質GDP(一次速報値)、6月鉱工業生産(確報値)、16日に6月第3次産業活動指数などが予定されている。
海外では、13日に豪・第2四半期賃金指数、英・6月ILO失業率、7月失業率、独・8月ZEW景況感指数、欧・8月ユーロ圏ZEW景況感指数、米・7月生産者物価指数、14日にNZ・中銀政策金利、英・7月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、欧・第2四半期実質GDP(改定値)、6月鉱工業生産指数、米・7月消費者物価指数、週次原油在庫。
15日に豪・7月雇用者数、失業率、中・7月鉱工業生産指数、小売売上高、英・第2四半期実質GDP(速報値)、6月鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、米・週次新規失業保険申請件数、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、7月小売売上高、鉱工業生産指数、16日に英・7月小売売上高、米・7月住宅着工件数、8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。