河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

水道料金、2046年度までに平均48%値上げの予測 施設・設備の老朽化が急速に進み、耐用年数超え管路の更新が追いつかない

2046年度までに値上げが必要な事業体の割合

2046年度までに値上げが必要な事業体の割合

直接的な要因は設備の更新費用の膨張だが

 なぜ、これほどまでの大幅値上げとなるのか。長年価格改定をしてこなかったツケが回り大幅増になったという事情のところもあるが、多くは施設・設備の更新費用の膨張が直接的要因である。

 厚生労働省によれば、全管路延長(導水管や配水管をすべてつなげた総延長)約74万キロメートルのうち法定耐用年数(40年)を超えた管路は約17万キロメートルに及ぶ。その割合を示す管路経年化率は毎年上昇し続けて2021年度には22.1%となっている。2006年度には6.0%だったので、急速に老朽化が進行しているということだ。

 これに対し、更新率は低下傾向をたどってきた。近年は横ばいだが2021年度の更新実績は0.64%に過ぎない。法定耐用年数を経過した管路延長が増加するスピードに、更新が追い付いていないのである。

 実務上の更新基準は平均すると概ね60年であり、今後20年ほどで更新を完了しなければならない。「2046年度までに平均48%値上げが必要」との推計が登場する大きな理由はここにある。

 しかし、値上げ率の見通しがここまで大きな数字となる理由はそれだけではない。その要因を掘り下げていくと、今の日本が抱えている「人口減少」というより深刻な問題が見えてくるのだ。

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。