「長時間労働」に「天下り規制」、そして「官邸主導」による“やりがい”喪失……。かつて霞が関のキャリア官僚と言えば、国の政策に直接関わるダイナミズムがあり、それに意義を感じる人も少なくなかった。だが、実際には、政策に明るくない閣僚や国会議員への説明や根回しが中心で、不毛な作業にかなりの時間を奪われているという。その結果、「官僚離れ」がますます進んでいく状況に、政府は危機感を募らせている。解決の糸口はどこにあるのか?
人口減少問題の第一人者で、最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリストの河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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人事院によれば、総合職のうち採用後10年未満で退職した人は、2013年度は76人だったが、2022年度は177人だ。100人超えは2018年度から5年連続である。
2021年3月末までの在職年齢別の退職率(各年度の採用者数における退職者数の割合)で見ると、5年未満退職率(把握可能な2018年度採用者)は11.5%、3年未満退職率(同2020年度採用者)は4.4%だ。
いまやインターネットで簡単に情報を入手できる時代である。過酷な職場の実態は学生たちにも筒抜けであり、20代の離職者の多さおよび退職理由を知って、そもそも国家公務員を目指さない人が増えているのである。
国家公務員試験の申込者が減り続けている状況に対して、政府も危機感を募らせている。
その対策として試験制度の見直しを図っている。2023年度の秋試験から受験可能年齢を1歳引き下げて「19歳以上」とし、大学2年生から受験可能としたほか、合格の有効期間も総合職「教養区分」は従来の3年から6年6か月に延長した。優秀な学生に早めに関心を持ってもらおうということだ。各省庁は中途採用にも力を入れている。