一方、投資家の心理状態を示す日経平均VIは26ポイントまで低下した。5日には85ポイントまで急騰したが、米国のVIX同様、過度な先行き警戒感は後退しつつある。日米ともにボラティリティの低下を受けて、指数の上下に特化した短期筋の売買は徐々に減少。オーソドックスな経済指標や金融政策などに沿った投資に戻しつつある。
なお、8月1日から16日までの月間平均プライム市場の売買代金は6.0兆円と記録的な水準だ。週末のプライム市場の売買代金は4.9兆円とここまでの月中平均を下回っているが、信用に絡んだ投げ売りや追証発生など需給が崩壊しただけに、足元の4兆円台の売買代金はさほど気にする減少ではないと考える。
9月末に新しい日本のリーダーが選ばれることとなったことで、しばらくは政局が手掛かり材料となる可能性はある。現時点で立候補を明確に表明した人物はいないが、名前があがっている茂木敏充幹事長、河野太郎デジタル相は、7月末に金利を上げる必要性など日銀の独立性を尊重する姿勢を欠いた発言を行っていたことが記憶に新しい。また、石破茂元防衛相も円安の是正や金利を上げる必要性を主張していることから、茂木氏、河野氏、石破氏が有利と報じられた際、為替、株式市場にはネガティブなインパクトを与える可能性がある。
一方、高市早苗経済安全保障担当相は、積極財政派として知られており、安倍元首相が実施した大規模金融緩和政策を指示していたことから、岸田政権路線とは大きく異なる可能性がある。「投資立国日本」に向けた動きがとん挫することは無いと思うが、今しばらくは名前があがっている人の政策や発言などに、関連した銘柄が振らされる展開となりそうだ。
日経平均やTOPIXなど指数への影響は限定的と見るが、個別銘柄では思惑中心の地合いとなろう。とりわけ防衛・宇宙、半導体関連など国策や自動運転やライドシェアなど規制緩和に関連したテーマは市場も意識しやすい。立候補者の政策などが出そろうのはまだ先になりそうだが、様々な発言から推測する動きは強まるだろう。
今週にかけて、日本では19日に6月機械受注、21日に7月貿易収支、22日に週次対内証券投資、23日に7月消費者物価指数などが予定している。
海外では、20日にNZ・7月貿易収支、中・8月中国最優遇貸出金利、トルコ・中銀政策金利、21日に南ア・7月消費者物価指数、米・週次原油在庫、7月FOMC議事録、22日に仏・8月製造業PMI、ユーロ・8月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI、米・週次新規失業保険申請件数、8月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、7月中古住宅販売件数、23日にNZ・第2四半期小売売上高、米・7月新築住宅販売件数などが予定されている。