ビジネス

もはや「右」も「左」もなくなった 英米仏の選挙で顕在化する“民衆の自分ファースト化”

 たとえば、共和党のトランプ前大統領の岩盤支持層は資本家ではなく、中西部の「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」の労働者、いわゆるプアホワイト(白人の低所得者層)である。だからトランプ前大統領は“自分ファースト”のプアホワイトを取り込むために「アメリカ・ファースト」「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」というわかりやすいスローガンを繰り返している。

 対する民主党のバイデン大統領も、巨額予算でバラ撒き政策を続けている。莫大な赤字削減は富裕層や大企業への増税で賄うとしているが、実現は容易ではなく、これまたわかりやすいポピュリズムだろう。

 トランプ前大統領の主張どおりに移民受け入れを拒否すれば、人件費が上がってさらなるインフレになる。世界の安全保障にカネをバラ撒くバイデン政権の政策でツケを払うのもアメリカ国民だ。ポピュリズムの先には破綻が待っている。

 では、アメリカ大統領選の行方はどうなるのか? カギを握るのは副大統領候補だと思う。その理由は、次号で詳述する。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2024~2025』(プレジデント社)など著書多数。

※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。