上下水道の損傷で地下鉄に浸水も
「水の恐怖」はまだある。1950~1970年代の高度経済成長期に整備された日本の上水道の水道管の法定耐用年数は40年で、老朽化が進んでいる。耐用年数を超えた水道管路の割合は、2020年度には20%を超えた。つまり、「日本の水道管の2割がボロい」のである。1月の能登半島地震でも、水道管のダメージは大きく、断水が長期化したことは記憶に新しい。
南海トラフ地震でも同様の上下水道の問題が予想され、さらに深刻な被害も起こりうる。地面の下に縦横無尽に張り巡らされた地下鉄である。津波被害が想定されていないエリアでも、地震の揺れで上下水道が損傷し大規模な浸水が起きれば、地下鉄構内で多くの犠牲者が出ることも起きうる。
ライフラインの被害は水道に留まらず、全国で2700万軒が停電し、携帯電話は大部分が繋がらなくなることが想定されている。
内閣府の検討会の資料によると、東海道・山陽新幹線の全線が不通になるほか、東名・新東名高速道路は通行止めになり、東日本と西日本は文字通り寸断される。地震の揺れが引き起こすのは、道路の継ぎ目のずれ。特に道路と橋などの間に数十cmの段差が発生すると自動車は通れなくなり、物流どころか人の移動さえできなくなる。交通インフラがなければ、食料などの物資も被災地に届かない。
臨時情報が終了しても地震の脅威が消えたわけではない。対策を急がなければならないだろう。
※女性セブン2024年9月5日号