キャリア

高校球児の親にのし掛かる金銭的負担 ユニフォーム代や交通費、保護者との交際費に加え監督・コーチのお祝いで「年間120~130万円の支出になりました」

自身も高校球児で甲子園という夢を追いかけていた早見さんは、「高校野球には恨みがある」という気持ちがありながら『ひゃくはち』『あの夏の正解』『アルプス席の母』など高校野球をテーマにした作品を書き上げた

自身も高校球児で甲子園という夢を追いかけていた早見さんは、「高校野球には恨みがある」という気持ちがありながら『ひゃくはち』『あの夏の正解』『アルプス席の母』など高校野球をテーマにした作品を書き上げた

 未熟児で生まれた息子が甲子園に出場しその成長を喜んだBさん(49才)も、父母会の話を向けると苦い顔だ。

「父母会は元高校球児という会長の独裁政治で、遠征の宿舎から車両、弁当の手配まで彼が仕切って、“キックバックをもらっているのでは”との噂で持ち切りでした。子供のポジション争いが親の関係に反映されることもあり、息子が高2でレギュラー入りしたときは先輩や同級生の保護者から無視されたり、『コーチとデキてる』と陰口を叩かれたりした。息子が動揺しないよう、親同士の“いじめ”を悟られないようにすることに苦心しました」

親がグループを結成し派閥争い

 こうした“父母会野球文化”に触れるのは高校だけに限らない。甲子園を目指す有望な選手は、中学の部活動で行う軟式野球より、シニアリーグの硬式野球を選ぶ傾向があり、そこでもまた厳格なルールがある。3人の息子全員が高校球児だった生活を著書『汗と涙と茶色弁当』に記した石川典子さんは、息子たちのシニア時代をこう語る。

「シニアにはチームカラーがあり、先輩ママさんとの縦の関係が厳しかった。保護者に求められる役割も多く、土日の練習の終わりにお茶当番が15リットルの大型ジャグと50個以上のプラスチックコップを引き取り、自宅に持ち帰り洗浄して、次の練習時にお茶を入れて持参するのが決まりでした。

 お茶当番の日は必ず練習に行かなくてはいけないので、当番のときにはまだ小さかった三男をグラウンドのすみのブルーシートの上で昼寝させていました」

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