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企業スポーツからの脱却目指すラグビー「リーグワン」 14季ぶり優勝で注目のキーマン東芝ブレイブルーパス東京・荒岡義和社長「ラグビーで一社独占の一人勝ちはあり得ない」

リーグワンでの取り組みを「ラグビーを主要コンテンツとする新規事業のつもり」と語る東芝ブレイブルーパス東京・荒岡社長(撮影:五十嵐美弥)

リーグワンでの取り組みを「ラグビーを主要コンテンツとする新規事業のつもり」と語る東芝ブレイブルーパス東京・荒岡社長(撮影:五十嵐美弥)

 プロスポーツにおいて、選手やコーチ陣と同じかそれ以上に重要な存在がクラブの運営を司る経営陣だ。特に立ち上がったばかりのチームにおいては、戦績とともに新規ファン獲得や観客動員数が事業の成否の鍵を握るため、フロント陣の努力は欠かせない。そうしたなか、5月に3シーズン目を終えた国内ラグビーの最高峰「ジャパンラグビー リーグワン」で14季ぶりの優勝を遂げた名門の取り組みに注目が集まっている。リーグ開幕とともに事業会社として親会社から独立し、「世界有数のユニークなラグビークラブ」を目指す東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)の荒岡義和社長に、フリーライターの池田道大氏が聞いた。

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 筋骨隆々のたくましい男たちがぶつかり合い、仲間とともに「前へ」と進む。人々を熱狂させるスポーツであるラグビーだが、「ビジネス」の側面が語られることは少ない。

 親会社がチームを丸抱えしている企業スポーツ──そんな見方が強かった業界で、「ラグビーで稼ぐ」ことに日夜尽力しているのが、東芝ブレイブルーパス東京株式会社(BL東京)の荒岡義和社長だ。2022年1月に開幕したラグビーの国内最高峰リーグ「リーグワン」の3年目に、前身のトップリーグとあわせて14シーズンぶりとなる優勝と、目標としていた事業売上5億円を上回る6億円越えの偉業を成し遂げた荒岡社長はこう話す。

「リーグワンのラグビーはプロスポーツ。お客さんがお金を払って試合を見に来てくれる仕組みが必要です」(荒岡社長・以下同)

 ビジネスとしてのラグビーの将来性を探る時、避けて通れないのが「親会社からの独立」である。リーグワンは地域密着をうたい、企業スポーツからの脱却を目指したが、当初予定されていた完全プロ化は断念し、チームの法人化を参入用件に含めなかった。このため大半のチームは従来通り、親会社の事業部門の1つや、親会社の「ラグビー部」にとどまった。

 その中で親会社から分社化し、事業運営会社を立ち上げたのがBL東京と静岡ブルーレヴズの2チームだった。“親”から離れることによって事業運営会社の権限が明確になって機能的な意思決定ができる反面、社長は結果に対する責任を負う。それでも退路を断ってBL東京のトップとなった荒岡社長は、「分社化は当然」と語る。

「設立のいきさつは多々あるだろうけど、リーグワンはプロスポーツの興行であると私は思っています。BL東京も東芝の支援を受けていますが、これまでの『福利厚生』という名目は『広告宣伝費』に変わりました。

 私たちはリーグワンで、“ラグビーを主要コンテンツとする新規事業”を行っています。その事業を拡大していくためにも親会社から独立して、採算の見える化を進めるのは当たり前。今後はできる限り、親会社の支援を減らして独立性を強めたいと考えています」

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