「上場してないのでどこまで発表するかは私の責任で明かしていますが、他のクラブも選手の年俸の高騰や親会社の支援以外にどう稼ぐかに頭を悩ませている中、私たちの実績がベンチマークとなり、他のチームの経営改善のヒントになればいい。ウチがコケたら、“ああしたらコケるんだ”と学んでもらえれば(笑)。BL東京が先頭で旗を振って、プロスポーツとしてのラグビー文化を作り上げていく先鞭をつけたいと思っています」
東芝で長く営業畑を歩み、800人の部下を従え、売上高1000億円の部門の責任者を務めたやり手営業マンの荒岡社長がラグビーというビジネスでめざすのは「共存共栄」である。
「メーカーは新商品を開発して市場を席巻して独占することが求められますが、ラグビーのビジネスは一社が独占して一人勝ちすることはあり得ません。対戦相手がいるし、ライバルを出し抜いても意味がなく、参加者全員がうまく回らないと自分たちの成長も望めない。私たちはリーグワンが発展するためにも、試行錯誤を繰り返しています」
収益化進める社長が指摘する「リーグワン」の課題
これから先、ラグビービジネスがさらに成長するためには何が必要だろうか。各方面に気を配りながらも、自分の考えや主張すべき点をはっきりと語る荒岡社長は、「リーグワンの幹部からも『荒岡さんの記事は全部チェックしています』と釘を刺されるんです……」と頭をかきながら、リーグワンの課題を鋭く指摘する。
「まずはプロスポーツのあり方として、親会社の支援を極力減らして自分たちで稼いでいく方向が望ましいし、戦略的でない無料招待も減らしていくべきでしょう。スタジアムも問題で、ディビジョン1の中にも“このスタジアムで試合をするのか”というチームがあるから、歴史ある秩父宮ラグビー場や花園ラグビー場を活用して、『ここに行けばトップチームのラグビーを見られる』と盛り上げることも必要だと思います。
あとはずっと言っていますが、国内リーグが真冬に始まるスケジュールを見直してほしい。ワールドラグビーが規定する代表チームのスケジュールとの兼ね合いはありますが、ジャパンの活動期間は他チームから選手をレンタルしてリーグワンのゲームを続けるなど、みんなでアイデアを出し合って考えていくべきです」