人口が急速に減っている日本では、「空き家率」が20%を超え、「5軒に1軒が空き家」という地方も増えてきている。しかし、問題は地方の一戸建てに限ったことではない。より深刻な影響は、首都圏や大阪圏などの都市部でも顕在化してきている。その象徴がマンションであり、とりわけ問題解決のハードルが高いのは「タワマン」だという。どういうことか?
人口減少問題の第一人者で、最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリストの河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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増加し続ける「空き家問題」に加えて、住まいから見える日本崩壊のもう一つのシグナルは、マンションの老朽化である。
半世紀以上にわたって急増し続けてきたマンションだが、いまや建物としての老朽化と居住者の高齢化という「2つの老い」に直面している。建て替えのハードルは高く、このままでは都市に廃墟のような建物が乱立する可能性もある。
国土交通省によれば、2022年末時点のマンションのストック総数は約694万3000戸であり、このうち約125万7000戸が築40年以上だ。
築40年以上のマンションは大幅増が見込まれる。国交省は2032年末に2022年末比で約2.1倍にあたる約260万8000戸、2042年末は約3.5倍にあたる約445万戸に達すると推計している。