住まい・不動産

建て替えどころか大規模修繕も困難に… 高齢住民増加で身動きが取れなくなる「老朽マンション」のリアル

マンション築年数別、世帯主が70歳以上の割合。築40年以上のマンション数の推計

マンション築年数別、世帯主が70歳以上の割合。築40年以上のマンション数の推計

「自分はあと何年生きられるかわからないから…」

 こうしたマンションの場合、一般的には管理組合で居住者同士の話し合いが進められるが、購入時点で負担感が大きかった人たちの懐具合が変わるわけではないので修繕積立金を値上げするにしても簡単には行かない。とりわけ高齢居住者が多いマンションでは合意形成が難航しがちである。

 建て替えにかかる費用ほどではなくとも、大規模修繕でも数百万円は必要になることが多い。これも年金で暮らす高齢者にとっては大きな負担だ。

 高齢者の中には「将来のための修繕と言われても、自分はあと何年生きられるかわからない。いま困っているわけではないのでこのままでよい」と主張する人もいる。大規模修繕にも反対する高齢者は少なくない。

 建て替えや大規模修繕を困難にする要因は、高齢居住者の増加以外にもある。「2つの老い」が進むマンションでは空き家が増えているのだ。この「マンションの空き家」問題もまた深刻であり、根本的な対策が求められる。

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、最新の統計データに独自の分析を加えた未来図を示し、これからの日本が人口減少を逆手に取って「縮んで勝つ」ための方策を提言している。

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