中国本土でPS5の売れ行きが好調
中国本土株式市場では、間接的な出資者となる企業、原作の出版社、技術支援をした企業などに加え、ゲームの舞台となった山西省や浙江省の観光施設を経営する企業や、関連グッズを販売する企業などの株価が乱高下(急騰後に急落)している。ちなみに、本土でPS5の売れ行きが非常に良いようで、ソニーの業績にはポジティブな要因となりそうだ。グローバルでみた中国の売上比率が小さいために、今のところ株価への反応は限定的ではあるが、ブームがさらにグローバルに広がれば、全体のPS5の販売台数へのポジティブな影響が株価を刺激することもあるかもしれない。
中国共産党は2018年以降、子供の教育上悪い影響があるとして、ゲーム内容に対する審査を厳しくしたり、子供の学習を妨げないように、匿名でのゲームを禁止したり、利用時間、課金に制限を設けたりしている。こうした逆風の中で『黒神話:悟空』は2024年2月、無事審査を通過している。
グローバルでの成功は、中国文化の普及に繋がる。今後、AR、VR技術の進歩にAI技術の進歩が加わることで、ゲーム産業は大きな広がりを持つのではなかろうか。ハード面に加え、ソフト面でも中国企業の存在感が高まっている。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。