8月20日に世界同時リリースとなった中国製のアクションRPG『黒神話:悟空』(Black Myth: Wukong)が、発売から3日で販売本数1000万本を突破する爆発的な大ヒットとなっている。
SteamDB(Steamに関する統計データ収集サイト)によれば、Steam上での初日のオンライン同時接続数(グローバルベース)はピーク時で220万人を超え、シングルプレイ作品としては過去最大、マルチプレイを含めると『ハースストーン:バトルグラウンド』に次ぎ過去第2位を記録した。
現段階ではPC版、PlayStation5(PS5)版が販売されており、中国本土メディア(人民網、21世紀経済報道など)が伝えたところによると、初日の販売量は450万ダウンロード、販売総額は15億元(305億円、1元=20.3円)に達している。
『黒神話:悟空』を作成したのは、遊戯科技(Game Science)。コアとなる開発チーム自体は2009年に結成されており、5年ほどテンセント内で開発を行っていた。創業者である馮驥氏が2014年にスピンアウトアウトして設立した本土民営企業であるが、2017年に英雄遊戯(シリーズA)、2021年には古巣であるテンセント(シリーズB)から資金調達を行っている。その後、英雄遊戯は株式を売却しており、現在の株主構成は馮驥氏(発行済み株式総数の38.76%)、遊科互動(27.36%)、英雄互娯(19%)、遊科研発(9.88%)、テンセント(5%)となっている。
開発チームはこれまで、『闘戦神』(テンセント時代)、『百将行』、『戦争技術:赤潮』といった中国色の強いアクション系ゲームの開発を手掛けてきたが、今回の作品はこうした開発経験を活かし、さらにそれを集大成させた作品といえそうだ。
『黒神話:悟空』の開発スタートは2018年2月に遡る。13分の予告映像を公表したのは2020年8月で、そこから販売にこぎつけるまでに4年の歳月を要している。開発コストは3億~6億元(61億~122億円)に及び、原作の著作権を持つ出版社、技術サポートを受け持つ企業など、広範な企業が開発に携わっている。中国企業としては初となるAAAゲーム(開発に莫大な時間・人・資金を費やした大作ゲーム)だ。