世界を魅了し続けてきた日本のゲーム。だが今、市場を席巻しつつある存在は、中国発のスマホゲームだ。米調査会社アップアニーによる2021年上期の世界のスマホゲーム収益ランキングでは、トップ10に中国発のスマホゲームが4タイトルも並んでいる。実査し、日本国内でも中国のスマホゲームに魅了されている人は少なくない。実際にプレイするユーザーの声から人気の秘密を探った。
まるで日本の寿司が海外で進化したよう
「『原神』みたいなキャラクターデザインと世界観がなぜ、日本から生まれなかったのか。秋葉原にあふれる広告を見ると、しみじみ思います」
そう話すのは、メーカーに勤務する20代男性・Aさんだ。『原神』はmiHoYoのマルチプラットフォーム対応オープンワールドアクションRPG。スマホゲームとは思えないほど、美麗な3Dグラフィックで描かれたファンタジー世界を旅することができる。Aさんは、『原神』には良い意味で期待を裏切られたという。
「実はこれまでスマホゲームにあまり興味がありませんでした。『ポチポチするだけで、なんの面白味もない作業を繰り返すだけ』というイメージだったんです。ガチャが当たる確率もひどい印象が強くて……。でも、『原神』は違いました。3D世界を探索しているだけでもめちゃくちゃ楽しいし、キャラクターを強化できる素材を集めるのも、やりこみ要素があってハマりました。
懸念されたガチャも親切なほうだと思います。キャラクターは90連、武器は80連で最高レアが確定で排出されます。確かに高みを目指そうとすれば1キャラクターで10万~15万円くらいはかかるかもしれませんが、人と争うような要素はないので気楽です。好きなキャラクターと旅するだけでも楽しめると思います」(Aさん)
中国発の『原神』には日本を感じる部分もあるという。どういうことなのか。
「『原神』には様々な国が出てきますが、3番目の国で日本をモチーフにした国が登場します。江戸時代と思われる世界観のもと、桜、神社、巫女、将軍、天守閣、刀、着物、料理など、日本を感じさせるものにあふれています。極めつけはキャラクターが海外受けしそうな“THE日本”というデザイン。日本の魅力をよくわかっている印象です。
設定やグラフィック、戦闘システムなど、どことなく『テイルズ』『モンハン』『ゼルダ』など、日本の有名タイトルを感じさせる部分もありますが、その完成度は高い。まったく別物として昇華されていて、まるで日本の寿司が海外で思わぬ進化を遂げたような感じです」(Aさん)