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森口亮「まるわかり市況分析」

米国市場に正反対の2つのアノマリー「利下げ後に株価下落」「大統領選後に株価上昇」…両者をどう読み解くか、ポイントを解説

大統領選挙と米国株市場のアノマリー

 2024年は大統領選挙の年です。4年に一度のこのイベントは、今回で60回目を迎え、株式市場には明確な傾向、つまりアノマリーが存在しています。

 前回の大統領選挙が行われた年、2020年の『ダイヤモンド・ザイ』11月号の特集「米国の【大統領選挙】でどうなる日本株&米国株」では、選挙直後の株価は「不透明感の解消」により上昇しやすく、選挙翌年の株価は「新大統領への期待感」から上昇しやすいという傾向を紹介しています。

 2016年を含む過去11回の大統領選挙の翌年1年間の株価(NYダウ)の騰落率を調べたところ、大統領選挙の翌年の株価は8回上昇し、3回下落しています。このデータに基づけば、大統領選挙の翌年は株価が上がりやすいと言えるでしょう。さらに、直近の大統領選挙である2020年の翌年もNYダウは18.73%上昇しており、この傾向はさらに強まっています。

 また、1980~2016年の大統領選挙時の「直前60日と直後60日の株価動向」を比較したデータも興味深いです。選挙前の60日間では株価が上がった年と下がった年が半々ですが、選挙後の60日間では、リーマン・ショックが起きた2008年を除き、すべての年で株価が上がっています。選挙前は選挙戦などに応じて株価が不安定になりがちですが、選挙後は不透明感が解消されて株価が上昇するというパターンが見られるのです。

 したがって、大統領選挙までの間に株価の上昇が続くかどうかは不確定ですが、大統領選挙後から翌年にかけては、米国株市場が上昇する可能性が高いと、過去の傾向から言えるでしょう。

2つのアノマリー、どちらを信じるか?

「利下げによる株価下落のアノマリー」と「大統領選挙後の株価上昇のアノマリー」、相反する2つのアノマリーのどちらを信じるべきか?というテーマで記事を書いてきましたが、私の結論としては、どちらも信じてよいのではないかと思います。

 投資の世界に絶対は存在せず、アノマリーはあくまでも傾向であり、絶対的な正解ではありません。どちらのアノマリーにも例外があるため、一方が必ず勝つという話ではないのです。

 現在の米国経済は、コロナ・ショック後に過剰流動性相場を経て激しいインフレを経験しており、経済に何らかのエラーが発生してもおかしくない状況です。

 そのため、「ショック安は起こり得る」と考え、リスク管理がますます重要になっています。一方で、大統領選挙のアノマリーは過去のデータに基づくと信頼できるものです。

 今年後半は、株式投資においては金額や時間、金融商品を分散させ、常にマーケット情報に注意を払い、リスク管理を徹底することが求められることになりそうです。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

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