環境への配慮や省力化、経費削減のためとして、多くの電力会社やガス会社で紙の検針票や領収書の配布を終了、ウェブサービス上で使用量や料金を確認させるようになっている。一見便利に見えるが、ウェブサービスに慣れていない高齢者にとっては利用者登録すら難しいことも珍しくない。
今年のお盆前、都内に住む会社員のAさん(40代男性)のもとへ、実家に住む70代の母親から1通のメールが届いた。母親いわく、電力会社のウェブサービスに登録しようと父親と2人でトライしたものの、何をどうしていいかまったくわからなかったという。
「実家が利用している電力会社が検診結果と請求情報の告知をウェブに移行し、紙の検針票と領収書の発行を有料化したんです。そこで私の帰省時に、ウェブサービスへの登録をやってほしいというメールでした」(Aさん・以下同)
そして帰省したAさんは、実家に届いていたウェブサービス移行を告知する電力会社のはがきの手順に従って、サービス登録を実施。普段、こうしたサービス登録は難なくこなすAさんだが、今回は難航したという。
「70代の両親は高齢者向けのスマホを持っていますが、基本的に電話とメールしか使っておらず、ウェブサービスはほとんど利用していません。LINEもやっていないし、そもそもスマホにアプリをダウンロードしたこともない。
だから、まず “アカウント”の意味がわかっていないんですよね。今回の電力会社のサービスは、メールアドレスをアカウント登録するものだったんですが、父も母も自分のアドレスを認識していないんです。本当は私が教えながら、父と母に自力で登録してもらおうと思っていたんですが、一から説明するのは面倒すぎると思って、結局私が自分のスマホから登録しました」