描けるようになった「希望ある未来」
2年後、そうしてコツコツ貯めたお金が20万円になった。地元の工務店に依頼して、駐車場の整備をすると、参拝客が少しずつ増え始めた。
「並行してまず、“思物供養”を始めました。故人の遺品や人形など、捨てにくいものを持ってきてもらい、神社の境内で祝詞をあげて火に焚べます。いわゆるお焚き上げですね。そうした事業が少しずつ広がっていきました。2014年に散骨を始めたのですが、2009年に500万円だった売上は2017年頃には5000万円を突破しました」(高瀨氏)
高瀨氏が社長を務めるSAISHIKIは正社員3人を雇えるようになった。宗教法人である和布刈神社のほうも今では9人の職員が忙しくしている。「最近になってやっと、希望のある未来を描けるようになった」と語る高瀨氏。神主とビジネスマン、二足のわらじで歩む道は、まだ始まったばかりだ。
取材・文/末並俊司(フリーランスライター)