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食パン&菓子パン「トランス脂肪酸」問題

【製パン大手3社と業界団体に聞く】「トランス脂肪酸」含有量に関する表記が統一されていない現状への見解

トランス脂肪酸の摂取による健康リスク一覧

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 表記の統一について敷島製パンはこう回答した。

「栄養成分はお客さまにとって分かりやすいよう、できる限り『1個(枚)当たり』の表示に努めておりますが、例えば1つのパンをスライスして包装しているカンパーニュやフォカッチャなどの商品は1個(枚)当たりの重量にばらつきが生じ、栄養成分に差が生じてしまうため、『1包装当たり』としています。そのような商品以外は、『1個(枚)当たり』という記載を行っています」(総務部広報室)

 敷島製パンの商品は、ランキング4位に「超熟 国産小麦6枚スライス」「超熟 国産小麦山型6枚スライス」がある。「5枚スライス」も「6枚スライス」も、ホームページ上では「1枚当たり0.1グラム」と表示されているが、本誌が計測すると、5枚スライスは6枚スライスより1枚当たり15~20グラムほど重い。

「1枚当たり」の含有量が同じ「0.1グラム」と表示されているのはなぜか。敷島製パンに尋ねた。

「トランス脂肪酸の値は小数点第二位を四捨五入して表示しておりますので、0.1グラムと表示している場合は、0.05g~0.14gまでの幅がございます。同じ商品でスライス枚数が違う場合など、重量が異なっていても、この範囲に収まっていればいずれも0.1gという表示になります」(総務部広報室)

 ホームページ上で唯一、トランス脂肪酸の含有量を小数点以下第二位まで表示しているのがフジパンだ。同社は表示単位が分かれる理由をこう説明する。

「栄養成分表示の記載単位は食品表示基準により、100g、100ml、1食、1包装、その他の1単位当たりで記載する旨が定められております。弊社といたしましては、基本的には1個、1枚の単位で記載をしておりますが、一部の商品については社内で判断を行い、1包装あたりの数値を記載しております」(広報部)

 日本には米国における「1食当たり」のような統一した表示基準がないため、各社で表記の揺れが起きているのだ。食用油の研究を専門とする慶應義塾大学医学部の井上浩義教授が語る。

「日本も統一した表示基準を設けるべきだし、それをパッケージにしっかり明記すべきです」

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