人体に有害として世界的に規制が進む「トランス脂肪酸」が含まれる代表的な食品が、食パン・菓子パンだ。WHO(世界保健機関)は2018年、トランス脂肪酸の食品への含有を「2023年までに全廃する」との目標を掲げ、その勧告に応じて世界46か国が規制を導入している(2022年末時点)。しかし、日本では「含有量」の規制だけでなく、食品パッケージへの「表示義務」も定められていない。
そこで、本誌・週刊ポストは、大手3社のパンについて、トランス脂肪酸の含有量を「1包装当たり」に換算し、16位までの計119商品をランキングにした。さらに、そのパンを販売する大手スーパーに見解を聞いた。【全3回の第3回。第1回から読む】
自社ブランドでは一部商品に表示
トランス脂肪酸を含むパンを消費者が手にする主な場となるのがスーパーマーケットだ。近年、一部の大手スーパーでは自社オリジナル商品のパンに含まれるトランス脂肪酸の情報開示に積極的な姿勢が見える。
スーパー事業を持つ小売大手5社のなかで、イトーヨーカドーやヨークベニマルを展開する業界売上1位のセブン&アイ・ホールディングスのオリジナルブランド「セブンプレミアム」では、一部パン商品の食品表示ラベルにトランス脂肪酸の含有量を記載している。
イオンやマルエツ、まいばすけっとなどを展開する業界2位のイオンのオリジナルブランド「トップバリュ」でも、一部パン商品のラベルにトランス脂肪酸の含有量が記載されている。裏側のラベルでなく、表面に「トランス脂肪酸0g」を表記する「フリーフロム」というシリーズもある。
自社のパンにおける取り組みについて、セブン&アイ、イオンの回答は以下の通りだ。
「セブンプレミアムは、フライ油や原材料に使用する油脂をトランス脂肪酸が低減されたものに変更し、トランス脂肪酸の低減に向けた取り組みをメーカー様とともに進めております。セブンプレミアムの一部商品については、(註・含有量の)表示を行っております」(広報センター)
「お客さまが商品をお買上げいただくための情報として、原材料、原料原産地、添加物等、可能な限り表示していく考えです。トップバリュで販売している食パンについては1枚あたりの『トランス脂肪酸』含有量の表記をしております」(広報グループ)