日本が世界に誇る自動車業界の大手3社はどうか。トヨタ自動車、本田技研工業がともに7人、日産自動車が6人。人数にはそれほど差がないが、創業家出身のトヨタ・豊田章男会長が16億2200万円なのに対し、日産自動車の内田誠社長は6億5700万円とトップの報酬額には差が見られた。自動車研究家の山本シンヤ氏は内田氏は両社のトップのキャラクターの違いについてこう話す。
「豊田章男会長が車を運転するのが好きな人だとすれば、美しい車が好きな上に車を眺めながらお酒が飲めるタイプの方ですね。入社したての時にローンでフェアレディZを購入して、窓から身を乗り出して喜んでいる写真が有名です」
孫正義氏にとっての“都合のいい男”
最後に大手通信4社を比較していく。ソフトバンクグループ(傘下のソフトバンクも含む)が10人、楽天グループが4人、KDDIが3人、日本電信電話(NTT)が2人となった。直近の売上高で見ると、NTTが13兆3745億円、ソフトバンクグループが6兆7565億円、KDDIが5兆7540億円、楽天グループが2兆713億円だが、役員報酬という観点ではNTTが少なかった。
グループトップの孫正義会長が外国人役員を積極的に登用していることも影響してか、同業種間の比較ではソフトバンクグループが圧倒する結果となった。孫氏の右腕だったソフトバンクグループ特別顧問の宮内謙氏は8億4400万円の役員報酬を受けとっている。ソフトバンク元社長室長の嶋聡氏は宮内氏についてこう回想する。
「突っ走る孫さんがやることを実務的に束ねていたのが宮内さんです。宮内さんは、いつも自分のことを『都合のいい男』と言っていました。とにかく突っ走るタイプの孫さんは、宮内さんに対してなんでも相談していて、見事な補佐役というような人でしたね」
一般人から見れば目も眩むような高額報酬だが、それでも上には上がいる。同業種の役員たちの間にもたしかな差があるようだ。