【C】で問題になるのは、税金と小作料の逆ザヤです。都市計画上、市街化区域内にある農地は生産緑地(都市計画決定後30年経過後は特定生産緑地)に指定されないと宅地並みに課税されます。
小作料は基本的に、農産物の売り上げから生産費用を控除した残額である利益中の地主の分配分ですから、多くの場合は低額で、税金の方が高い逆ザヤになります。逆ザヤは【C】の正当な理由の大きな要素です。場合によっては離作料として金銭支払いも条件にして賃貸借の解約の申し入れの許可を受けることが可能です。離作料は耕作断念の補償ですから、宅地の借地権のように地価の何割というような高額にはなりません。
あなたが、小作料の増額請求をしたい場合は、逆ザヤを理由にはできませんが、付近の小作料と均衡を失するようになれば可能です。農業委員会に一度相談されるのがよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※女性セブン2024年9月19日号