これに似たようなものでは2015年、明星食品の「一平ちゃん夜店の焼きそば」のケースがあります。海辺で恋人と一緒にいる高校生役の広瀬すずが、付属のマヨネーズ小袋からマヨネーズをチュルチュルと出していく。相手の姿は出てきませんが、広瀬はカメラ目線で「ちゅー」と言いながらマヨネーズを出していき、博多弁で「全部、出たと?」と言う。焼きそばの上にはマヨネーズでLOVE」と書かれている。これも下ネタを連想する人がいて、「好きな人、おると?」にセリフが変わりました。音声の差し替えで済んだものの、以前のバージョンを見ている人からすれば、制作者がネットでの話題を狙って作ったとの印象は残ることでしょう。
就活の苦労をリアルに描きすぎて心がえぐられる
東京ガスが一社提供する『食彩の王国』(テレビ朝日系)で流れるCMは、ドラマ仕立てで家族の絆とガスのある暖かい生活を描き、評価は元々高かった。しかし、2014年に放送された「家族の絆-母からのエール編」は、あまりにも就活経験者の心をえぐるものになってしまったのです。
何しろ脚本がよく練られていたため、とにかくリアルでした。2014年の放送当時、大学生の内定率は上昇気運にありましたが、氷河期にあたる人からすればあの辛い思いを再び――といった状況になり、苦悶の叫びが多数ネットに書き込まれました。
就活中の女子学生が「何十回ぶりのお祈りメールだろう」(お祈りメール=不採用報告メール)という言葉が登場。面接帰り、電車向かいに座っている3人の中年男女があたかも圧迫面接をしているかのように感じてしまう。その人々が「社会は甘くないの」「ご縁がなかったということで」などと厳しい表情で言います。
その上で「世界中から否定されている気持ちになった」と心の中で述べる。男子学生からは内定を報告するメッセージが届き、複雑な気持ちになるも、彼女は発奮し、後日最終面接へ。これで内定だ!とばかりにチーズケーキを買って家に帰るも、自宅玄関で「お祈りメール」が届き、彼女は一人公園で落ち込む。そこに母親がやってきて、最後は一緒に夕飯を食べる──という内容です。母親の菩薩のような優しさも、実に苦しく感じてしまう。