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「竜巻で鉄柱が折れるのが心配で…」異常気象を理由に近隣のゴルフ練習場建設を取りやめてもらうことはできるのか、弁護士が解説

異常気象だけを理由に建設取りやめを求めることは可能か(イメージ)

異常気象だけを理由に建設取りやめを求めることは可能か(イメージ)

 異常気象が続く昨今、台風などを心配して自宅周辺の環境に気を配る人も少なくない。2019年には台風でゴルフ練習場のネットが倒れるという事件もあった。そうした心配を背景に、自宅近辺での建設計画に反対することはできるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【質問】
 関東郊外に住んでいます。来年、自宅の隣の空き地にゴルフの打ちっぱなしの練習場が建設されるようです。心配なのは異常気象。今夏も竜巻やゲリラ雷雨が猛威を振るい、建設されても練習場を支える鉄柱が折れるのではないかと思え、建設反対を唱えたいです。でも、理由が異常気象だけでは弱すぎますか。

【回答】
 上部に覆いがない打ちっぱなしのゴルフ練習場は、安全上の問題で周囲に相当高い防球ネットを張り巡らすため、それに伴ってネットを張る鉄柱も高くなります。

 ゴルフ練習場は建物ではありませんが、15mを超える鉄柱等の設置には建築確認が必要です。建築確認を得るには、一定の風圧に耐えられる構造が求められます。その場合の風圧は、各地方の過去の台風の風害程度や風の性状に応じ、秒速30~46mの範囲で定める風速を基準にして算定されます。

 数年前に台風の強風にあおられ、千葉と神奈川でゴルフ練習場の鉄柱が倒れた事故がありました。その後の調査で、『建築基準法』が想定した風速以下だったのに、強風で足元のアンカーボルトが破断したことや強風なのに、ネットを下ろさなかったことなどが指摘されました。その際の試算では、ネットを下ろさなかった場合の風圧は下ろした場合の約3倍にもなると報告され、全国のゴルフ練習場の経営者に対し、ネットを取り付けた状態での風圧力を前提として現行の構造計算に適合しているかなどの確認や施設の劣化状態についての点検が求められたのです。

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