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日本の通信業界で「EV/EBITDA倍率」が最も低いNTT 世界標準のネットワーク技術基盤の切り札「IOWN構想」で企業価値向上なるか

日本の通信企業の企業価値は

日本の通信企業の企業価値は

 昨年8月、防衛費の大幅な増額を受けて、自民党のプロジェクトチームは、政府が保有するNTT株を売却して、財源に充てる検討を始めていること報じられた。それを受けて、日本の通信インフラを担うNTTに、外国資本の影響力が強まることを懸念する声も出ている。はたして、日本の通信インフラ企業の外資による買収、M&Aはあり得るのだろうか。

 海外企業のM&Aの判断に際しても用いられるのが、「EV/EBITDA倍率」という指標である。これは「EV(※企業価値。一般的に「時価総額+有利子負債-現預金」で算出)」が、「EBITDA(※収益力。一般的に「営業利益+減価償却費+のれん償却費」で算出)」の何倍あるかを示すもので、M&Aの世界では「買収に使った資金を何年で回収できるか」の目安として使われる。買収に必要な金額(企業価値)が1兆円でその企業が1年に1000億円を稼ぐなら、「EV/EBITDA」は10倍で買収資金は10年で回収できる計算になるわけだ。

 企業分析情報を提供するバフェット・コードの協力のもと、ここでは通信業界の「EV/EBITDA倍率」を比較し、ランキング化した。次に海外から狙われる企業は──。

ライバルはGAFAM

 通信を含むセクターにおける日本の「EV/EBITDA倍率」の業界平均は米国より低い。NTTドコモを完全子会社化したNTTの3.8倍が最も低い数値だ。経済ジャーナリストの有森隆氏はこう見る。

「NTTは将来的に世界標準を握るネットワーク技術基盤の切り札として『IOWN構想』を掲げますが、ライバルはGAFAMのような米巨大IT企業。その将来が見通せないと、世界水準の企業価値にならない。ただ、通信は経済安全保障上、保護されるので買収の可能性は低いでしょう」

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