増加する「一人暮らし世帯」は以前より持ち家率が低下
2020年国勢調査によれば、人口減少にもかかわらず、世帯総数は増加傾向にある。だが、その要因は「一人暮らし世帯」の増加だ。2005年には全世帯に占める割合は29.5%(1446万世帯)だったが、2020年は38.1%(2115万世帯)にまで膨らんだ。
反対に、「夫婦と子ども世帯」は29.8%(1463万世帯)から25.1%(1395万世帯)へと減ってしまっているのである。実数にすると、この間68万2269世帯減少した。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)によれば、「3世代世帯」も1995年の524万世帯から2020年には234万世帯へと半数以下となっている。
過去の住宅購入の傾向を分析すると、持ち家住宅への志向が強いのは「夫婦と子ども世帯」や「3世代世帯」だ。
内閣府が、1990年代のバブル経済崩壊後の25年間(1993 年~2018年)の総世帯における世帯主の年齢別持ち家率をまとめているが、30代は7.1ポイント、40 代は9.5ポイント低下している。
この年代の世帯構成別持ち家率を見ると、「二人以上世帯」はほぼ横ばい傾向にあるが、一人暮らし世帯は30代、40 代ともそもそも低調ではあるが、2003年以降はさらに低下傾向をたどっている。要するに、「二人以上世帯」と比べて持ち家率が低い一人暮らし世帯が増大しているだけでなく、一人暮らし世帯は以前よりも持ち家を取得しなくなっているということだ。
一般的に40代までの年齢層は結婚や出産・子育てをきっかけとして、50代以上では老後の備えとして、それぞれ持ち家を取得する人が多いが、婚姻件数は長期下落を続け、全体としての持ち家率の低下につながっているのである。