托卵という言葉がある。動物の習性の一つとして、自分の卵の世話などを他の動物に代行させることを指し、カッコウがすることで有名だ。これを人間に置き換え、「托卵女子」や「托卵妻」という造語が昨今SNSを賑わせる。こちらは夫以外の男性の間にできた子供を、夫に実の子供と思わせ、一緒に育てる女性のことである。
そうした「托卵」は10月17日からフジテレビで始まるドラマ『わたしの宝物』でもテーマとされるなど、注目度がますます高まっているが、リアルケースではどうなのか。「托卵の子を育てているかもしれない」という男性たちに、その経緯と胸中を聞いた。(前後編の後編。前編から読む)
「そんなわけはない」と言い切れる根拠
都内でマスコミ関係の仕事をしている会社員・吉田さん(40代男性、仮名)はバツイチ。5年ほど前に再婚した妻と育てている娘について、「ほぼ確実に僕の子ではない」と“托卵”疑惑を抱いていることを明かす。
「再婚当時、僕はギリギリ30代、一回り下の妻は20代半ばでした。結婚後、妻から早々に子供ができたと言われたのですが、そんなわけはないんです」(吉田さん。以下「」内同)
吉田さんが「そんなわけはない」と言い切れるのには、根拠がある。
「最初の結婚のとき、子供が欲しかったのにどうしてもできませんでした。いろいろ調べると、完全に僕のほうに原因がある不妊だったんです。複数の病院で調べてもらったので、それは確定事項です」
その後、離婚した吉田さんは、「ヤケクソの時期があった」という。
「妊娠しないのをいいことに、遊び放題というか。再婚もするつもりはなかったんです。今の妻との出会いは逆ナンで、押し切られる形で結婚しました。離婚から再婚までに間が空いていたこと、彼女が子供はいらないと言っていたこともあって、僕も不妊のことをすっかり忘れていました。今思えば、先に伝えておくべき話だったのかもしれません。いずれにせよ、そもそも僕に能力がないのに、彼女といきなり子供ができるというのは変な話です」(吉田さん。以下「」内同)