「養子を取ったと思えば大丈夫だ」と自分を納得させる
ただ、吉田さんは妻から子供ができたという報告を聞いた時、「よかった!」としか言葉が出なかったという。
「『誰の?』と聞き返さなかったのは、よかったのか悪かったのか……。今思えば、僕が子供を生ませてあげられないので、他の男性の子供でもいいかなという、なんだか達観したような心境でしたね。その後も『養子を取ったと思えば大丈夫だ』と自分を納得させていました」
生まれた娘の血液型は、夫婦の血液型から見ても矛盾はなかった。さらに娘が「妻似」だったことで、吉田さんの心は救われたという。ただ吉田さんは、「やはり本当は誰の子なのかが気になる」と複雑な胸中を漏らす。
「妻に対する疑念の気持ちが消えるわけではないのも事実なんです。相手が僕じゃないと明らかにしたほうが、連れ子としてきちんと接することができるのかもしれないと思うようになりました。1人になると、DNA鑑定や遺伝子検査の費用について調べてしまう自分がいます……」
托卵をする女性には女性の“言い分”があるのかもしれないが、その事情を知ってしまった男性たちもさまざまな想いを抱えているのだ。
(前編から読む)