優待株に「値上がりを期待するか」で戦略が変わる
“億り人”になった今は、株主優待をどう活用しているのだろうか。
「資産が少ないうちは優待株の比率のほうが多かったぐらいですが、優待を使うのにも限界がある。食べられる量には限りがありますからね。多く買っても消費しきれなくなるんです。そういう意味では、優待株の比重は10年ほど前からは増えていないと思います。300銘柄ぐらいですかね。逆に高配当株の比率が徐々に増加しています」
そう話すかんちさんは、「優待株は大きく2つに分けている」と続けた。
「“値上がりする優待株”と“(値上がりを)期待しない優待株”ですね。値上がりする優待株は、優待がなくなっても保有を続けますが、期待しない優待株は優待の実質利回りだけで決めています。利回りが高い順に買って、優待が廃止、あるいは改悪された時は即売りですね。それで利回りの高い銘柄に入れ替えるという作業をしています。
逆に値上がりする優待株は、売り上げや業績が伸びていれば株価も上がっていくので、優待の利回りにこだわらない。利回り3%でも買う時はあります。株価も上がって、優待ももらえるということで買いですね。利回りが低くても使える優待であればいいし、株価が上昇した時にはキャピタルゲインが取れますから」
同じ優待株でもオートバックスとイエローハットには違いがある
2つのタイプの優待株の具体的な銘柄について、かんちさん次のように話す。
「外食産業のコロワイド(7616)とかアトム(7412)は、値上がりしなくても(優待が)欲しい銘柄ですね。あとはジェイグループホールディングス(3063)とかも同様です。他の分野ではカーメンテンナンスもそう。私が住んでいる地域は自家用車が必需品。オートバックセブン(9832)は金券なので使いやすい。これらは値上がりを期待しない優待株。
同じカーメンテナンスでも、イエローハット(9882)は値上がりも期待できる優待株ですね。3割引き優待券がもらえるので、本来10万円の出費であれば3万円も安くなる。家族みんなで保有し、その優待券で車検などのメンテナンス費用などを賄っています。しかも、イエローハットは業績が伸びているので、優待が使えるうえに値上がりも期待できる。そういうことを考えながら、優待株の入れ替えをしています」
【プロフィール】
かんち/1961年、三重県生まれ。元消防士。専業投資家。現在の資産は8億円超で、年間配当金は2000万円超に達する。投資初心者でもわかりやすく、判断基準が明確で再現性の高い投資手法は、個人投資家の間で定評がある。5月に初の著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株投資入門』(ダイヤモンド社刊)を上梓し、注目を集めている。