認知症の高齢者を狙った詐欺事件が多発するなか、そうしたトラブルに家族で備えておきたいという声は少なくないだろう。悪質商法等から親を守りたい、という理由で財産を共同管理することは可能なのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
悪徳業者による高齢者を騙す事件が多発しています。父も高齢で一人住まい。最近は軽い認知症なのではないかと疑うことが多く、しかも、父はプライドが高くて詐欺に注意するように伝えると怒り出す始末。なんとか父のプライドを傷つけずに、共同での財産管理を行なうには、どのような方法がありますか。
【回答】
高齢になれば、言動が衰えるのは自然なこと。とはいえ、医師の診断がないと判断能力に問題が生じているかは不明なので、普段から診てもらっている医師に相談してみてください。その診断がない段階で、プライドの高いお父さんに、財産の共同管理を申し出ることは、難しいのではないでしょうか。
あなたが「共同管理」に関し、何をイメージしているのかわかりませんが、今の段階ではお父さんの財産管理に介入することはできません。同意を得てから、預金通帳と印鑑を管理するくらいです。