機能性を削ぎ落とすという選択肢が若者に支持されている背景には、SNS依存や“SNS疲れ”といった社会問題が無関係ではないという。
「こうしたローテクなケータイへのニーズは、やはりSNS依存とSNS疲れという問題が背景にあります。世界的ベストセラーになったアンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』が警鐘を鳴らしたように、スマホは睡眠障害やうつ症状、記憶力や集中力、学力の低下、依存症をもたらすことが知られています。
2024年3月の時点で、アメリカでは35州で子どものSNS利用規制に乗り出しました。社会問題に敏感なリベラルな若者たちやハリウッドセレブがいち早く『デジタルデトックス』を取り入れたように、“スマホやSNSから距離を置くことが賢い選択”というイメージがあるのでしょう」(同前)
また、昨今のスマホのハイテク化に伴い、最新モデルはどんどん高額化している。その点も、消費者心理の面でダムフォン人気を支える要因になっているとAさんは続ける。
「日進月歩で進化しているスマートフォンですが、そもそも名前の通り『スマート(=賢い)』なことを売りにしています。毎年発売される新モデルは、ハイエンドなものになりすぎています。昨年アップル社が発売したiPhone 15は、無印の『iPhone 15』が12万4800円(128 GB)、最上位モデルの『iPhone 15 Pro Max』が18万9800円(256 GB)からと、価格も高騰しました。最新のiPhone 16も同様です。カメラの性能やスクリーンの美しさなど『正直そこまでハイテクな機能は必要ないのに』『もっと安価なもので十分』と頭を抱えている消費者も少なくないはず。
若い世代の間では『ハイテク機能はいらないけど、古いモデルを使うのが恥ずかしい』という人もいて、人目を気にして最新モデルを無理して手に入れる人もいるでしょう。しかし、ダムフォンの場合は“あえてダムフォンを選んでいる”という積極的なチョイス、さらに“機能性を削ぎ落としている”というスマートさが魅力なので、“ダサそうに見えて、カッコイイ”という印象を与えることができるのです」(Aさん)