フリマアプリといえば、出品者があらかじめ価格を設定するものだったが、メルカリが5月22日から開始している新機能「価格なし出品」では、オークションのように価格を決めず出品できる。購入希望者が希望価格を提案し、出品者が承諾すれば販売が始まる仕組みだが、開始から4か月、まだまだ慣れない人も多いようだ。
新機能の導入背景には、メルカリ出品時の「手間」が関係する。メルカリの調査によると、出品の際面倒なこととして「アプリ操作をすること」(46.6%)、「適切な販売価格を考えること」(39.6%)、「価格交渉に対応すること」(31.2%)という回答が多かったという。
「価格なし出品」なら、そうした面倒さを解消できると重宝している人がいる一方で、「使わない」あるいは「使ってみたけどやめた」という人たちもいる。その理由を聞くと、「価格」に関するやり取りの悩ましさが浮き彫りになった。
「容赦なく安い値段を提示されて…」
「以前は相場を調べて、“これくらいなら売れるかな?”と試行錯誤だったし、売れなかったら少しずつ下げたり、あるいは交渉が入ったりして、出品価格には振り回されていました。だから『価格なし出品』なら、逆に“これぐらいの価格なら買う人がいる”ということがわかるありがたい機能だと思っていました」
そう語るのは、パート勤務の40代女性・Aさんだ。「でも、実際はもっと面倒でした」と嘆く。
「たしかに売り手側が出品時の手間を省ける部分はありますが、買い手側は容赦なく安い値段を提示してきます。そりゃ安ければ安いほどいいんだから、ダメ元でも安く提示しますよね。相場5000円くらいかなと思っている物に500円を提案されるようなことが多く、これなら悩んでも価格をつけて出品した方が良いと思うようになり、早々に価格あり出品に戻しました」(Aさん)