「コロナ禍」を機に仕事を辞めた高齢者が増加
65歳以上の就業者数の推移を見てみると、2013年の637万人から2019年に890万人になるまでは増加ペースを描いてきた。ところが、新型コロナウイルス感染症が流行した2020年に903万人となったあたりから伸びは鈍化し、その後はほぼ横ばいとなっている。
2023年が「過去最多の914万人」を記録したといっても、前年より2万人増えたに過ぎない。男性だけならば4万人減少している。
就業者総数に占める割合も2020年に13.5%となってからは横ばいを辿っている。少子化で年々若年の就業者が減っていることを勘案すれば、実質的にマイナスということだ。
高齢就業者が頭打ちとなっている背景には、コロナ禍がある。飲食業や宿泊業といったパート労働者やアルバイトに大きく依存する産業が軒並み経営難に陥り雇用を削減したことだ。就業を続けられなくなったことを契機に働くこと自体をやめてしまった高齢者が多かったのである。
働く高齢者の中には「年金の足しにするため」とか「健康のために社会との接点を持ち続ける」といった理由で週に数日、数時間働くという人が少なくない。コロナ禍で仕事がなくなって働く意欲そのものが損なわれ、「そろそろ潮時」と判断したり、「感染が怖いから仕事を辞めよう」と考えたりした人はかなりの数に上った。
次のページ:“前期高齢者”はすでに減少…今後増え続けるのは「75歳以上」