大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

日本人が英語やITが苦手な背景に「○×式」の学力テストの存在 「文科省は子供たちの未来を奪っている」と大前研一氏指摘

ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める大前研一氏

ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める大前研一氏

なぜ日本人は英語が苦手なのか

 文科省は、英語やITの教育でも間違っている。なぜ日本人は英語やITが苦手なのか? ○×式でテストされるからだ。

 英語は明治時代と同じように英文和訳と和文英訳で文法や構文を覚えさせている。だが、中学・高校の6年間も学びながら、大半の日本人は英語ができない。試験で間違うと×を付けられるから「パブロフの犬」のように条件反射で英語が嫌いになってしまうのだ。

 大学入学共通テストの「情報」も、選択肢の中から正解を選ぶ○×式の問題が想定されているが、それはまさにAIが得意とする領域だ。そんな問題に習熟しても入試以外では役に立たない。

 そもそも英語もITもコミュニケーションの道具であり、「使ってなんぼ」である。使えれば「楽しく」「面白く」「便利」で「儲かる」。身も蓋もない言い方だが、そうした“利潤動機”によって上達するものなのだ。

 私自身、大学時代に外国人観光客のガイド(通訳案内士)のアルバイトで儲けさせてもらったが、おかげで英語に磨きをかけられた。

 また、私の次男は中学時代にゲーム制作に興味を持ち、独学で勉強した。そのため普通の学校は落第したが、今はゲームクリエイターとして活躍している。“利潤動機”は、人生においてすこぶる重要なのである。

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