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【2026年に1000社以上がTOPIXから除外へ】構成銘柄の見直しで新規採用企業は株価上昇期待、「ボーダーライン企業」は株価対策注力で市場全体に好影響も

TOPIX、見直しの背景は?

 東京証券取引所は、2022年4月に市場区分を見直し、それまでの「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」などを再編して、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに区分けしました。この再編に伴い、TOPIXも新たな市場区分に対応した形で見直す必要が生じました。

 特に、プライム市場の企業に対しては、厳格な上場基準(流動性やガバナンス基準など)が設定されていますが、現状では、東証一部に上場した企業は、基準から外れていてもプライム市場に移行し、そのままTOPIX銘柄に採用されています。そのため、必ずしも投資家にとって魅力的でない企業も指数に含まれています。

 また、現行のTOPIXには、流動性の低い銘柄も含まれています。流動性が低いと、投資家がその株式を売買しにくく、取引が成立しにくいという問題があります。TOPIXの見直しでは、流動性の低い銘柄を除外し、より市場全体の健全性を反映する指数にする狙いもあります。これにより、指数に連動するファンドや年金などの大口投資家も、よりスムーズに取引できる環境を整えようとしています。

見直しは第2段階へ

 TOPIXの見直しは、2022年4月からスタートし、現在は2025年1月末に完了予定の第1段階にあります。この段階では、流通株式時価総額100億円未満の銘柄を除外。これに続いて、2026年10月から第2段階がスタート予定ですが、見直しのポイントは以下3つです。

【1】構成銘柄の対象市場は、プライム市場だけでなく、スタンダード市場、グロース市場の銘柄でも、時価総額が大きくなればTOPIX銘柄に含まれる
【2】選定基準は、「年間売買代金回転率20%以上」と「浮動株時価総額上位96%以内」
【3】10月に定期入れ替えを行う(データの基準日は8月最終営業)

 今までは、一度TOPIXに組み入れられれば、対象から外れることはほぼなく、地位が確保されていました。今後は、上位96%に入らないと追い出されてしまうという危機感が企業側には生まれます。

 実際に銘柄の入れ替えがスタートするのは、まだ2年ほど先ですが、入れ替えデータは2026年8月のものを使うので、実質2年を切っています。浮動株時価総額が小さい企業は、今から対応を考える必要があります。

 浮動株時価総額上位96%以内の銘柄数は、だいたい1000銘柄程度と予想され、現在の半分以上の企業がTOPIXから除外されることになります。外れた企業は、TOPIXをベンチマークとするパッシブ運用の機関投資家から大量の売りがでるため、株価の下落は避けられません。逆に、今まで採用されていなかった銘柄が採用になると、株価上昇が期待できます。

 このルールだと、かならず下位4%は不採用になるので、ボーダーラインぎりぎりの企業にとっては熾烈な競争となりそうです。時価総額を上げるために、収益性の向上はもちろん、積極的なIR活動で個人投資家への知名度を広めたり、株主還元などを行うことが考えられます。そういった競争が行われることで、株式市場自体が活性化され、投資家にとってはおもしろくなりそうです。

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