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【成功するセミナー会場の椅子の並べ方】“座りやすさ”と“盛況ぶり”をどう導くか 「5席ずつ」より「2席ずつ」が来場者の満足度を高めるワケ

椅子の数は全員分置かなくていい

 また、やってみてわかったのは、こうするとこちらが何も言わなくても前のほうの席に座ってくれる人が増えることだ。そもそも、後ろより前のほうがプロジェクターの文字は「見やすい」のだ。それでも前に座ろうとしなかったのは、座席の快適性が低いことが原因のひとつだった。この快適性を担保することで、人の気持ちは積極的になることが多い。そのため、自ら前に座る人が増えるのだろう。

 とは言え、2人席にすると中に入りにくい問題は解決するが、「当日、実際に何名来るか」はわからないままだ。

 ただ、たいていのセミナーは、事前に「応募」してもらうはずだ。つまり、「応募人数はわかる」のだ。ここから言えることがひとつある。

 応募人数以上に来ることはない。

 これははっきりしている。もっと言えば、応募者全員が来る可能性も低いのだ。ところが気が利かない事務局のメンバーは、急に参加したくなる人もいるかもしれないと多めに席を並べたりする。

 当日になって他の予定ができたり、面倒になったりする人は必ずいる。特に無料セミナーや当日払いのタイプのセミナーにはキャンセルがつきものだ。

 この場合、100人の応募だからといって、最初から座席を100席置かないほうがいい。はじめは70席くらい置いておくのだ。こうすると仮に70人しか来なくても満席になる。そして70人よりも多く来た場合には、あらかじめ用意しておいたイスを、急遽足したように並べていく。こうするとお客さんは前のほうの席から座っていくことになるし、大盛況ぶりを演出しやすいわけだ。

【プロフィール】
下地寛也(しもじ・かんや)/コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表。1969年神戸市生まれ。1992年文房具・オフィス家具メーカーのコクヨに入社。顧客向け研修サービス、働き方改革コンサルティングサービスの企画など数多くのプロジェクトマネジメント業務に従事。未来の働き方を研究するワークスタイル研究所の所長などを経て、現在はコーポレートコミュニケーション室の室長としてコクヨグループのブランド戦略や組織風土改革の推進に取り組んでいる。同時に複業ワーカー(エスケイブレイン代表)としてのビジネススキルに関するセミナーや講演、YouTube動画配信などの活動も積極的に行っている。著書に『考える人のメモの技術』(ダイヤモンド社)、『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)、『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)などがある。

『「しやすい」の作り方』(サンマーク出版)より一部抜粋して再構成

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