筆界特定の申請をすると、申請人や隣地所有者などの関係者に手続きの開始が通知され、資料提出の協力を求められることもありますが、意見を述べる機会も付与されます。
そして、筆界調査委員の調査意見に基づいて、筆界特定登記官が、境界線を特定した筆界特定書を作成し、申請人に写しを渡し、筆界を特定したことを公告します。裁判に比べると、測量が必要な場合を除いて負担は軽く、迅速です。隣地所有者の協力がなくても筆界調査委員は立ち入り調査などが可能です。しかし不服があれば裁判で争えます。とはいえ、筆界特定は境界の事実上の特定です。筆界特定書は専門家の判断として尊重されますから、境界確定の裁判においても有力な証拠になるでしょう。
そこで、まずは筆界特定手続の利用をおすすめします。なお、境界が確定すれば、土地の所有者は、隣地所有者と共同の費用で、境界標を設けることができます。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年10月24・31日号