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JR中央線グリーン車導入で沿線住民の期待と懸念 「ゆっくり座って帰れるなら数百円は高くない」、一方で「遅延の拡大が心配」「先にホームドアの整備を」の声も

中央線ホームに表示されたグリーン車の乗車口

中央線ホームに表示されたグリーン車の乗車口

遅延が更に増える懸念も

 しかし、懸念が無いわけではない。首都圏の交通事情に詳しいライターの金子則男氏はこう話す。

「“中央線にもグリーン車を”という声はかなり昔からありましたが、問題は中央線の運転本数が非常に多いことです。他のグリーン車導入路線と比べ、中央線は段違いに運行密度が高く、ピーク時には2~3分間隔で列車が出ます。そのため遅延率も高く、首都圏でも屈指の遅延が多い路線となっています。大いなる懸念事項は、グリーン車導入で遅延がさらに増えることです。

 まず予想されるのは、グリーン車の客が乗降に手間取ることです。グリーン車は2階建てで、大勢が一斉に降りるのは不可能。JR東日本は少しでも乗降がスムーズになるように“両開きドア”を採用しましたが、人間の心理として、高い料金を払った客は急ぎません。普通車両の乗降が終わっているのに、“グリーン車利用客の乗降終了待ち”になるケースも想定されます。

 ホームで列車を待つ客も遅延リスクの1つです。東海道線などでは日常茶飯事の光景ですが、普通車に乗る列に並んだつもりで目の前にグリーン車が止まり、慌てて普通車の方に駆け出す客がよくいます。中央線でもこういった客が大量発生する可能性が高く、さらに困ったことに一番混む新宿駅はホームが非常に狭い。丁寧に注意を呼びかけないと、グリーン車が本格導入された折には、朝夕の新宿駅のホームはこれまで以上にグチャグチャになる可能性もあります」(金子氏。以下同)

 他の路線であれば10秒や20秒ぐらい電車が遅れても後続列車に影響はないが、上述の通り中央線は、最短2分で次の列車がやって来る。列車が1本遅れれば、後ろの列車はどんどん遅れるのは当たり前。ただでさえ遅れがちな路線に、また1つ遅延リスクが増えるということだ。また、快適性・利便性にも疑問符は付く。

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