【予測7】社会保険料も上昇しています
社会保険とは、相互扶助の理念に基づき、病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための公的保険制度です。
社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあります。
給与所得者であれば、給与から保険料が天引きされていることが多いでしょう。事実上の税金のようなものです。前項で税負担が重くなってきたと申し上げましたが、実は社会保険料負担も重くなってきています。
被保険者負担が均一な国民年金保険料を見ると、月額保険料は、2001年から現在に至るまで3000円以上も上昇しています(日本年金機構より)。
多くの被保険者が加入している医療保険の「全国健康保険協会」、通称「協会けんぽ」の保険料率も上昇してきています。
給与から天引きされていると気づいていないかもしれませんが、これは「ステルス値上げ」のようなものですね。
【予測8】近年、ドル高円安でインフレーションが進行しています
図0-5は、ドル円の為替レート、10年の推移です。このチャートは上の方に位置していれば、ドル高円安を意味します。ここ数年で大きくドル高円安が進んだことがわかります。
日本は生活必需品の多くを輸入に依存している国です。原油や天然ガスといったエネルギー、小麦や大豆をはじめとしたたくさんの種類の食料など、私たちの身近なものは多くを輸入に頼っています。そして、ドル高円安はそれらの価格が上昇することを意味します。
輸入価格が外貨建てで変化していなかったとしても、たとえば米ドルが1ドル=100円か140円かでは、輸入に対して支払う金額は4割違うことになります。
それは最終的に購入する人の価格に反映されますから、同じものであっても価格が上昇するわけです。
近年は、買い物へ行くたびに「値段上がったなぁ」と感じるものが増えていませんか? もしくは「値段は変わらないけど、小さくなったなぁ・少なくなったなぁ」と感じることもあるでしょう。
具体的な品物の価格の変化を確認しましょう。総務省統計局が実施している「小売物価統計調査」は商品別の価格の変化を公表しています。それによると、東京都区部のカップ麺(1個78g)は2年間で約25%、しょう油(1リットル)は同22%も上昇しています。
欠かせない日用品であるトイレットペーパーも見てみましょう(図0-6)。1000mという単位なので、少し金額が大きく見えてしまうかもしれません。1巻が50m程度であれば20巻分の価格になります。2年間で約22%の上昇です。
エネルギー源として灯油(18リットル)の価格も確認しましょう。こちらも2年間で約22%上昇しています(図0-7)。
どういうことかわかりますか? 2年で20%以上の上昇をしている。これは何かを1万円で買った時に、量り売りなら2割量が減っていることを意味します。
つまり、1万円の価値が減っている=インフレーションです(以下、長いので「インフレ」と書きます)。
ですから、日本円だけを持っているとその貨幣の価値は減っていることになります。これは「何もしないリスク」「何も知らないリスク」と言えるでしょう。
一方、投資はこのインフレを「ヘッジ」できる手段です。 「ヘッジ」とは、将来起こりうるリスクの程度・具合を予測し、そのリスクに対応できるようにしておくことです。
インフレが為替レートのみで起きるとは言えませんが、たとえば米ドル建ての資産を持っておけば、その資産はドル高で上昇しますから、「ヘッジ」できるというわけです。