紅葉が各地で見頃を迎える秋の行楽シーズン。休日に手作りの弁当を持って出かける人も多いだろう。しかし、10月半ばを過ぎても各地で25℃以上の夏日を記録するなど、昨今は天候が不安定でもある。そこで気をつけたいのは食中毒のリスクだ。手作り弁当にどんなリスクが潜むのか。フリーライターの清水典之氏が、食品の安全性に詳しい科学ジャーナリストに話を聞いた。【シリーズ「“ずぼら料理”に潜むリスク」第2回】
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保育園や幼稚園に通う小さな子供に持たせる弁当を、少しでも楽しく食べて欲しいと願って、“キャラ弁”に仕立てる保護者は多い。海苔や玉子焼き、ウインナーなどの食材を加工して、アニメや動物などのキャラを作成する作業は非常に手間がかかる。
しかし、単におかずを弁当箱に詰め込むだけの弁当に比べ、“キャラ弁”は食材を手で触れる作業が格段に増えるだけに、衛生管理が“ずぼら”だと子供たちが食中毒を起こすリスクが高まる。
食品の安全性に詳しい科学ジャーナリストの松永和紀氏はこう言う。
「人の手には相当な数の菌やウイルスがついていると考えられ、食中毒防止でなにより重要なのは手洗いです。しかし、東京都健康安全研究センターの森功次氏らの実験で、手洗い前に100万個のウイルスを手につけて洗ったところ、流水による15秒すすぎではウイルスが1万個も残り、ハンドソープで洗っても約100個は残りました。ですから、素手のまま細かな作業をすると、菌やウイルスが食品につく確率は確実に上がります。
一般的な食品工場では、石鹸で2度洗いしたうえで手袋をして作業します。また、ノロウイルスの場合、不顕性感染(感染しているが無症状)でウイルスを排出していることもあるので、体調不良の時は絶対に作業しないようルール化されています。キャラ弁に限らず、お弁当を作るときは、手洗いと手袋、健康状態の確認はしたほうがいいでしょう」
キャラ弁を作るときは、普段の弁当より一段と衛生面に気を配る必要がある。