新聞広告と政見放送で約79億円
選挙では候補者が有権者に送る公選ハガキ、選挙運動用のチラシ(法定ビラ)、ポスターの作成費から新聞広告、政見放送の費用まで、公費負担、つまり国民の税金で賄われる。公選法で定められた「選挙公営」という制度だ。
総務省の「令和6年度一般会計予備費使用要求書」によると、主な内訳は、「候補者用無料葉書購入費」(公選ハガキ)が約34億円、「新聞広告費」が約32億円、国から自治体に交付される「衆議院議員総選挙執行委託費」が約730億円だ。
自治体への委託費には、投票所経費(約167億円)をはじめ、ポスター掲示場費(約48億円)、政見放送公営費及び経歴放送公営費(約47億円)などが含まれる。1回の総選挙で「新聞広告」(約32億円)と「政見放送」(約47億円)を合わせて約79億円が税金から新聞・テレビに投じられる。
(以下、総選挙で大新聞とテレビに流れる「巨額税金マネー」を一覧表で紹介)
1位は読売新聞、2位は朝日新聞
では、どの新聞社やテレビ局にいくらの選挙公営費が流れているのだろうか。今回の選挙はまだ確定していないが、本誌・週刊ポストは総務省の資料から前回(2021年)の総選挙の選挙公営の支払い先を掴んだ。
総務省の「行政事業レビューシート」によると、前回総選挙では約651億円が使われた。このうち選挙公営の新聞社への支払い先上位と金額(実績)は、1位の読売新聞東京本社への約6億5600万円をはじめ、朝日新聞に約3億5400万円(2位)、中日新聞に約1億9700万円(3位)と続く。
「政見放送」の経費の支払い先は、日本放送協会(NHK)に約8400万円(支出額1位)、東京メトロポリタンテレビジョンに約400万円(同2位)、テレビ東京に約300万円(同3位)、テレビ朝日に約300万円(同4位)となっている。
選挙公営とは別に、各政党が使う宣伝広告費用もある。前回総選挙が行なわれた2021年分の各党の「政党交付金使途等報告書」によると、新聞広告やテレビCMなどの「宣伝事業費」に自民党は約1億4961万円、立憲民主党は約3億3715億円支出していた。政党交付金だからこれも税金だ。
解散・総選挙になれば「選挙公営」と政党の宣伝事業費を合わせてざっと100億円規模のお金が降ってくるのだから、新聞・テレビにとって、選挙がいかにおいしい商売であるかがわかる。今回の総選挙の“真の勝利者”は、新聞・テレビではないか。