オルカンには死角あり?
新NISAを使う場合、投資信託の購入も有力な選択肢になる。今年1月は同制度の対象投資信託に1兆円超が流入した。年内の仕込みを考えるうえで、「リスクを意識して、資産のバランスを整える発想が重要」とするのはファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター代表)だ。
「今年8月の大暴落のように、運用商品には元本割れリスクがつきまとう。大統領選を控えた米国では利下げが進む見通しですが、それは景気の下支えが必要な状況ということ。経済情勢を見ても来年は米国で株価が下がる可能性がある。
もしそうなれば、新NISAで人気の『S&P500』はもちろん、米国株が6割以上を占める『オルカン』も下落するかもしれない。この2つのような株式100%で運用する投資信託は、銘柄を分散しているとはいえ元本割れリスクが懸念されます」
そこで、藤川氏が挙げるのは、株とは異なる値動きが多い「債券」や「金(GOLD)」などに分散させる方法だ。
「来年株価が下がるようなら『債券』や『金』は相対的に上がる可能性があり、今のうちに安く仕込んでおくという考え方になる。株以外に分散投資することで、元本割れリスクは低下する。特にシニア世代など運用期間が限られる人は資産を“減らさないこと”が先決。株一辺倒ではなく、債券などの割合を高めるように資産のバランスを整えることが重要です」
別表に注目銘柄・ファンドをまとめたが、債券や金などに特化したファンドは、新NISAの「成長投資枠」でしか買えない。「つみたて投資枠」でも買いたい人は、株や債券などに幅広く分散する「バランス型ファンド」に目を向けたい。
「株以外の割合を高めるとリターンは見劣りしますが、その分リスクを抑えられる。年内にその備えをしておくに越したことはないでしょう」(藤川氏)
2年目の新NISAをどう活用するか、それぞれの戦略が問われる。
※週刊ポスト2024年11月8・15日号