中国経済の低落状態が続いている。ひと頃の牽引役だった不動産の取引規制をはじめ、政府の様々な規制強化が足を引っ張って景況が悪化。欧米の景気減速で輸出も減少している。不動産・建設業や中小企業の債務が拡大し、特に若年層の失業率の大幅な上昇で個人消費も回復が見込めない状態だ。中国の事情に詳しいジャーナリストの石平氏が言う。
「失速というより大恐慌の中にあると言っていい。若年層の失業率は日本が4%程度ですが、中国は政府発表で18.8%。政府は数字を操作しますから、その倍あると見てもいいでしょう。失業率数十%とは、1929年の大恐慌時のアメリカ並み(最大24.9%)かそれ以上。ものすごい状況です」
懸念されるのは、中国に進出している日本企業の事業活動である。人件費の安さから、中国が「世界の工場」と呼ばれていたのは昔の話。生活水準の向上とともに人件費も高騰し、安価な製品の製造・輸出の拠点ではなくなっている。実際、日本企業の海外現地法人の従業員数は、北米・欧州・ASEAN10(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)で増加したのに対し、中国では減少した(2022年7月、経済産業省調べ)。加えて、中国ではしばしば浮上する政治的リスクがある。
「中国共産党の一党独裁国家なので、例えば日本産の水産物の輸入を突然禁止したように、何をやってくるか予測できません。それに台湾有事が起きたら、日本企業の中国ビジネスは潰れてしまう。ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアビジネスはダメになりました。それと同じです」(同前)