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【糖尿病を悪化させる歯周病】歯周病原菌の毒素が糖尿病発症や進行につながるメカニズム 特にぽっちゃり型の人が要注意の理由【医師が解説】

ぽっちゃり型の方が要注意とされる理由

 歯周病原菌は「内毒素」という非常に強力な毒素を産生することがわかっていて、歯周病進行につれて歯周組織が弱くなり、そこから歯周病原菌が直接体内に入り込みます。歯周病原菌が血管を通り、肺に入ると誤嚥性肺炎を起こし、心臓に入ると心不全や心筋梗塞発症の原因となります。血流に乗り、全身のあらゆる場所に向かうので、たどり着いた場所に悪影響を与えるリスクが高まるのです。

 また、歯周病原菌の毒素が体内に入ると、体を守る免疫システムが活性化してTNF-αという炎症性サイトカインを大量に出します。TNF-αは内臓脂肪が大量に蓄積したときに産生されるサイトカインで、インスリン感受性細胞(骨格筋、脂肪細胞など)に結合し、インスリンの効きを悪くする作用があります。その結果、血糖値が上昇し糖尿病発症や進行に繋がります。

歯周治療でTNF-αが減少すると、より少ないインスリン量でグルコーゲンを取り込めるようになる

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 内臓脂肪型肥満になると、糖尿病の発症リスクが高まります。歯周病は、内臓脂肪型肥満と同様のメカニズムで糖尿尿の発症や進行の原因の1つになっているのです。近年の研究ではBMI(体格指数)25前後のぽっちゃり型の方が、歯周病による糖尿病コントロール不全の影響を受けやすいことがわかっています。歯周病による炎症で産生されたTNF-αが脂肪細胞の中で増幅されているのではないか、という研究結果もあります。

 一方、米国に多いBMI35以上の高度肥満では、脂肪細胞から産生されるTNF-αが大量に産生されているため、歯周病由来のTNF-αにはほとんど影響されないことも報告されています。日本人はぽっちゃり型肥満の割合が高度肥満よりも多いため、糖尿病に対する歯周病の影響を受けやすいのではないでしょうか。

「糖尿病患者の歯周病発症率は健康な人と比べて2.6倍も高い」と語る小方頼昌教授

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