名医が教える生活習慣病対策

【糖尿病を悪化させる歯周病】寝酒をしてそのまま眠ると歯周病進行の原因に 重要なのは、歯垢の除去と毎日の歯磨き【医師が解説】

歯周病は全身に悪影響を与える

 歯周病の最も重要な治療は、歯垢の除去と毎日の歯磨きです。ポケットの中に付着している歯垢は、歯周病専門クリニックで歯科医師や歯科衛生士に定期的に除去してもらう必要があります。これにより炎症が収まり、歯周組織の破壊を食い止め歯が抜けるのを防止することにつながります。

 また、日常的にできることは歯を磨くことです。歯と歯肉の境界付近をしっかり磨き、プラークを取り除きます。さらに歯肉をマッサージすることも大切です。このため歯磨きには2種類の歯ブラシを用意して使い分けることがポイントになります。

 歯の表面をみがく歯ブラシは、歯の表面にフィットして、しっかりプラークを落とすことができるものを選びます。歯ブラシがあまり固すぎると、歯の表面のエナメル質を削ってしまうこともあるので注意が必要です。普通の硬さのものを選びましょう。

 もう1つのポイントは歯肉用歯ブラシです。毛先が細くポケットに入り、中の歯垢を掻きだすことができるタイプを選ぶようにしましょう。ブラシの毛先を直接歯肉に当ててマッサージして引き締めることで、歯周病原菌が体内に侵入するのを防ぎます。

 中高年の男性は、時に寝酒をしてそのまま眠ってしまう方もいます。これは歯周病を進行させる大きな原因となります。お酒を飲んでも、歯を磨いてから就寝することが歯周病の進行を防ぎ、さらに糖尿病の悪化を抑制します。

 歯肉が下がって根が露出すると歯の根元がう蝕(虫歯)になる例が増えてきます。放置すると歯を失う原因にもなるので、歯の根元が黒くなっていることを発見したら歯科医の受診が欠かせません。

 歯周病は、糖尿病のみならず全身に悪影響を与えます。食後の歯磨きに加え、歯科医を定期的に受診し、歯周病検査とともに歯垢を除去してもらいましょう。さらにいえば、ストレスを減らし、喫煙をやめることで免疫低下を防ぐことも重要です。

毎日の習慣が歯周病の進行を防ぎ、糖尿病の悪化を抑制する

毎日の習慣が歯周病の進行を防ぎ、糖尿病の悪化を抑制する

糖尿病を悪化させる歯周病・前編から読む

【プロフィール】
小方頼昌(おがた・よりまさ)/1984年日本大学松戸歯学部卒業。1988年東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了。1992年よりカナダトロント大学歯学部に留学、歯周生理学を研究。日本大学松戸歯学部歯周病学講座教授などを経て、2020年同大学松戸歯学部第13代学部長に就任(~2023年)。現在は同大学歯学部歯周治療学講座教授。

取材・文/岩城レイ子

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