コンビニやスーパーのビール売り場で、長年の定番商品に混じって「新商品」が存在感を見せている。ビール業界では長く、アサヒビールの「スーパードライ」が王者として君臨。他社は高価格帯のプレミアムビールや安価な発泡酒、第3のビールで勝機を見出そうとしてきたが、その構図が大きく塗り替えられようとしている。
きっかけは2020年10月から段階的に始まった酒税改正だ。本誌・週刊ポスト(11月8日発売号では、〈ビール戦線異状あり!「スーパードライ包囲網」〉と題した特集を組んで激変する業界の最新の動きをレポートしたが、その端緒となった酒税改正は、安さを大きな強みに市民権を得てきた「第3のビール(新ジャンル)」の値上げにつながるものだ。
発泡酒や新ジャンルの税率が段階的に引き上げられ、逆にビールの税率が引き下げられる。そのため、消費者の側に「発泡酒や新ジャンルから元のビールに回帰する動きがあり、メーカー側もそれに応じて新たな定番ビールを発売する動きを見せている」(経済ジャーナリスト・永井隆氏)のだ。
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