藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

《いまさら聞けない「103万円の壁」》“働き損”にまつわるよくある誤解を解説 178万円に引き上げなら年収500万円で13.2万円の減税効果

「103万円の壁」が見直しになると税金はどう変わっていくのか(写真:イメージマート)

「103万円の壁」が見直しになると税金はどう変わっていくのか(写真:イメージマート)

 衆議院選挙で躍進を遂げた国民民主党が掲げた、“「103万円の壁」(課税最低水準)の見直し”の行方が注目されている。そもそも「103万円の壁」とはどのようなものか。見直しが実現した場合、どのような効果があるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第117回は、「103万円の壁」について。

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 10月27日に行われた衆議院選挙で、国民民主党が大躍進を遂げました。国民民主党は、国民の手取りを増やす政策の柱として、「103万円の壁」の見直しを訴えており、今後の行方が注目されています。

103万円の壁って?

 そもそも「103万円の壁」とは、いったい何を基準に計算された数字でしょう? これは、給与所得(正社員のみならず、アルバイトやパートなどの所得も該当します)から、マイナスすることができる所得控除額の数字を基準に計算されたものです。

 所得控除は、ふたつの控除が足されたものです。ひとつは、給与所得控除で、これは、働くためにかかる洋服や、カバンなどの経費をざっくりまとめて55万円(下限)としています。自営業なら、自分で実際にかかった費用を経費として控除できますが、会社員など給与所得者はそういった個々での控除はされず、所得によって、控除額が決まっています。

 もうひとつは基礎控除で、これは、給与所得者のみならず、すべての人に設けられているもので、一律48万円です。103万円というのは、下限の給与所得控除額55万円と基礎控除48万円を合わせた数字で、「収入を103万円以内に抑えれば所得税がかからない」というわけです。

・年間収入100万円の場合
100万円-(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)=▲3万円
→所得税はかからない

・年間収入113万円の場合
113万円-(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)=10万円
→10万円に対して所得税がかかる

 所得税を非課税にするため、収入を103万円以内に抑えようとする人が多く(103万年の壁)、それが人手不足を助長しているとも指摘されています。そのため、国民民主党は、「年収の壁」を103万円から178万円に引き上げることを掲げ、今回の選挙で議席を伸ばしました。

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