投資情報会社・フィスコが、株式市場の11月11日~11月15日の動きを振り返りつつ、11月18日~11月22日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で857.46円安(-2.17%)の38642.91円と下落。週央にかけてはトランプ次期政権に対する政策期待を背景に日経平均は上昇し、一時40000円に迫る動きも見られたが、対中強硬派と見られるマルコ・ルビオ氏などがトランプ次期政権入りするニュースが続々と伝わったことで、米中貿易摩擦への警戒感が台頭。為替市場では1ドル156円台と円安ドル高の流れが強まったものの、貿易摩擦懸念が重しとなり自動車株など輸出関連銘柄への追い風とはならず。週末にかけての日経平均は上値の重さが目立ち、2日連続で安値引けとなった。ただ、決算発表がピークを迎え個別株物色が活発化したことや、取引時間30分延長などが影響して、プライム市場の売買代金は12日に5兆円台に乗せるなど商いは活発となった。
なお、11月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1760億円買い越したほか、TOPIX先物を3408億円買い越し、225先物は1702億円買い越したことから、合計6870億円の買い越しとなった。一方、個人投資家は現物を7242億円売り越すなど合計で8137億円売り越し。なお、事業法人は現物を1557億円買い越しており19週連続での買い越しとなった。
トランプ次期政権による経済政策によってインフレ再燃機運が強まっており米10年債利回りは4.4%台後半まで上昇。日本の10年債利回りも今年最も高い水準である1.07%まで上昇しているが、日米金利差拡大を背景とした円安ドル高の流れは強い。15日に加藤財務大臣は口先介入を行ったが「投機的な動きを含めて極めて高い緊張感をもって為替を注視」「行き過ぎた動きには適切な対応をとる」といった程度に留まったことから、政府・日本銀行による為替介入への警戒感はさほど高まっていない。
今週18日から開催されるG20 (主要20カ国・地域首脳会議)を前に政府・日銀は積極的な為替対応がとりにくい様子だ。また、ドルインデックスが1年ぶりの水準まで上昇するなど、トランプトレードに伴うドル独歩高が足元の円安の背景にあることも為替介入を行いにくい要因と考えられる。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演にて「米経済は強く、速やかな利下げの必要性がない」との考えを示していることから、1ドル160円台を意識した展開を指摘する声もある。G20のイベント通過後も円安ドル高の流れが継続となれば、日本の政府要人による口先介入が一気に強まる可能性はある。株式市場への影響は限定的かもしれないが、為替動向には気を付けたい。